パンヤ島物語プロローグ

プロローグ

 遥か昔―――

 魔王の邪悪な魔法によって自然の「生命力」を奪われたパンヤ島。その影響で森は枯れ果て、風はそよがなくなり、緑の大地は色あせていくばかりでした。それに比例するように人々からは笑顔も消え、幸せを感じることすらできない―――このままでは島全体が滅んでしまうのも時間の問題でした。

 しかし、一部の島の住人は力を合わせ、邪悪な魔法によって汚染された自然を救う方法を考えた―――それが、『アズテック』と呼ばれる神秘のボール誕生のきっかけでした。まだ汚染されていない自然の気を魔法で凝縮し、作り上げたもの―――それを生命力が流れ出ている穴に入れることで大地を浄化すれば、衰弱した自然に再び活力を与えることができると思ったからです。

 しかし、アズテックは自然の生命力自体を集めて作り出した魔法のボール―――つまりそれは、直接手で触れることができないということでもありました。いざ触れてしまえば、そこに凝縮された生命力が流れ出し、消えてしまうのです。

 ここで誕生したのが、魔法の棒『エアーナイト』。これにより、アズテックを安全に運ぶことを可能としたのです。そして、異界から来た名もなき青年―――彼はエアーナイトでアズテックを巧みに運ぶことができる力を持っていました。その活躍の結果、邪悪な魔法も、その魔法をかけた魔王すらも滅び、自然は再び美しい姿を取り戻したのです。

 気持ちの良い太陽の日差しと涼しいそよ風―――緑の草原では妖精が微笑み、澄んだ青空を見た人々の顔には笑顔が戻り、歓声が上がりました。名もなき青年はその後姿を消してしまいましたが、そんな彼を称えようと住人たちはお祭りを考案しました。

 そう、それが『パンヤ』と呼ばれるお祭りの始まり。彼の活躍を真似るゲームとして住人の間で盛り上がるようになり、そしてそのお祭りには時間の妖精『コロスクロノス族』が名もなき英雄の出身地である異界を探し出して訪れ、一緒に祭りに参加して楽しんでくれる人々を探してきたりするほどになりました。

 その英雄の代理人としてか―――“彼”もまた、コロスクロノス族に誘われ、パンヤ島へ訪れることになりました。

 しかし、この時の彼はまだ知らなかったのです。彼が訪れた頃、滅んだはずの魔王の息吹が、微々たるものでも復活してきていたことを―――。

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